HOME

2010.12.19.(日)  獺祭 旭酒造(株) 訪問 

獺祭(だっさい)の旭酒造さんを訪れました。山口県岩国市郊外の山の中にある蔵は近代的で
清潔でエネルギッシュ。業界の常識を悉くくつがえす旭酒造さんの考え方や造りの現場を目の
当たりにして、プチカルチャーショックを受けるとともに、今の日本酒業界で最も勢いのある
蔵の一つだというのを実感できる訪問でした。

名古屋から新幹線のぞみに乗り換え広島で下車。
さらに、こだまで一駅の新岩国まで都合3時間半。
北陸や東北の蔵へ行くことを考えれば、近いものです。

新岩国から更に車で30分の山中にお蔵はあります。
途中に立ち寄ったのは、増築途中の自社の精米工場。
来年完成予定のこの工場では、年間4万俵の精米が
可能とか。右奥に見えるのは現在稼働中の工場で
二割三分と三割九分精米の米は、すべてここで
まかなわれるそうです。

蔵に着くと、桜井社長にお出迎えいただきました。
社長は、歯に衣着せぬ物言いでいらっしゃいますが、
爽やかで実直なお人柄。いろんな刺激を受けました。

この蔵の特徴とポリシーをまとめると

◆この10年で売上高は5倍に増え、現在も昨年対比
130%という驚異的な伸びを示している。

◆平成21BYは4700石 22BYの製造計画は6000石

◆全量山田錦しか使わず、製品ラインナップはすべて
純米大吟醸 蔵内平均精米歩合はなんと 41%
つまり、普通酒はおろか本醸造も普通の純米酒も
この蔵には一切ありません。

◆基本は四季醸造。ですから、酒が品薄になるとか
販売店が極端に限定されるとか、地酒業界によくある
“幻の銘柄”とは180度違う営業方針。

◆杜氏制度の廃止。製造スタッフは20〜30代の
若い正社員だけで構成されている。
蔵を案内していただきました。
まずは、洗米・蒸し米の部屋。
スタッフは本当に皆若く、元気で礼儀正しい。
精米された山田錦が、所狭しと山積みされていました。
現在3万俵を使うそうです。
洗米機です。5台ありました。
一回で15キロの白米を洗い一日に2トン弱を
こなすとか。
こちらは、脱水機です。ホームセンターで
売っている業務用の掃除機を活用して
作り出したとか。
一晩干して、翌朝蒸されます。
50%精米の山田錦です。
左がいわゆる 甑(こしき) 米を蒸す釜で
右の放冷機で冷まします。
酒母室です。すべて速醸もとで大小10本のタンク
がありました。
二割三分磨きの酒母は、小さめのタンクで。
酵母は、1401(金沢酵母)と1601の合従。
すべて泡なし酵母で、このブレンドが香りと
キレのバランスに効果的とか。
製造部長の西田さん。いわゆる杜氏だが
彼は29歳で蔵に入り、今年10年目の社員。
製造部員20名の長であるが、一番の年長者。
年間300回も仕込むので、そのデータをすべて
残してあり、技術の標準化が彼の大きな仕事とか。
麹室です。その広さにまず驚きました。
来期はもっと広くするとか。
壁は木ではなくステンレス。
この方が掃除がしやすく清潔を保てるそうです。
基本は床麹。箱でも麹蓋でもありません。
純米大吟醸しか造らないのに、すべて床で
製麹するのは、効率性を重視するからでしょうが
決して品質をないがしろにするわけではない。
造りの変革と革新が、確かにありました。
麹を最適な状態で育てるための工夫。
醪(もろみ)タンクです。
発酵室は年間を通じて5℃に保たれています。
5klタンクが39本 3klタンクが24本。
もろみ日数は平均35日。
これは50%精米の醪。
裸電球がなんともユニークで特徴的。
うわさの 遠心分離機です。
遠心力で、醪を酒と粕と糊に分離します。
無加圧で搾るため、透明感のある酒が
搾られるとか。
摩擦熱で表面温度が上がるのを防ぐため
稼動中は常に冷やしているそうです。
槽(ふね)はありませんが、ヤブタがあります。
二割三分磨きの純米大吟醸も
ヤブタで搾られるのです。
まさに、伝統的な常識にとらわれない造り。
火入れはすべてパストライザーで行われます。
つまり、瓶詰め後速やかに火入れ冷却することで
新鮮さが保たれるのですが、1.8L瓶も300ml瓶も
すべて同じラインで行われるのに驚きました。
ですから、獺祭にはスクリューキャップはありません。
720も300も、打栓瓶となります。
しぼりたての 二割三分磨きを
試飲させていただきました。
左が遠心分離機で搾ったもので
右がヤブタで搾られたものです。

どちらも麗しい香りにときめきを感じます。
口に含むと、美麗な旨みが一気に広がり
やがて静かにきれていく。
ヤブタで搾った方は、余韻が長く続き
遠心分離は、より流麗で透明感に満ち溢れていました。
玄関横に設けられた直売所。
面で販売するためのモデルと
させていただきます。

HOME