このページは、メールマガジン「あなたと地酒と音楽と」の、JAZZアルバム紹介コーナーの
バックナンバーです。

【あなたと地酒と音楽と】第45号 2002.01.25.発行より
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《JAZZと地酒のおいしい関係》 

ペギー・リーさんが亡くなりました。私の世代では、リアルタイムで聴く
という事はなかったものの、JAZZヴォーカルに興味を持つ者として、
避けては通れないシンガーでした。「ブラック・コーヒー」や「ドリーム・
ストリート」など名盤は数々あれど、1959年録音のジョージ・シアリング
五重奏団との共演による、ライブパフォーマンスが楽しい「ビューティ・
アンド・ザ・ビート」は心に残ります。 ご冥福をお祈りします。

(Peggy Lee /George Shearing - Beauty And The Beat の試聴はこちら)
http://www.hmv.co.jp/Product/Detail.asp?sku=8222

彼女の娘さんが、HPに追悼の言葉を寄せています。フォトギャラリー
で彼女の若い頃を偲べます。
http://www.peggylee.com/

さて、今回ご紹介するのはペギー・リーではなく、私としては珍しく(笑)
黒人女性ヴォーカリストです。深く感動的で、溌剌とした声を持つ本格派。
とにかく巧いんです。


● 『SLOW DOWN』       Michelle Walker (VO) 
     スローダウン        ミシェル・ウォーカー  
 
   レーベル:DC JAZZ  商品番号:MWSD5416
        録音日 2001年7月30日〜8月1日

彼女はアメリカのJAZZサイトをうろうろしていて見つけました。こうい
うサイトは、まずジャケットを見て判断するのですが、彼女の顔のアッ
プが視線に入るや、ピピンと来るものがありました。動物的直感が働
いたという事でしょうか。曲目をチェックし試聴してみて、その直感は
正しかった。やがてCDが到着しじっくり聴いてみたところ、久々に良
い買物をしたという充足感があります。 
(これは、ハズレも多いという事の裏返し)

ミシェル・ウォーカーは、ドイツ生まれのアメリカ人で、今年で35歳。
幼年期から音楽には深くかかわっていたそうですが、JAZZを本格的
に歌い出したのは、大学院を卒業するころからだそうです。
そして、このCDが彼女のデビューアルバムですから、やや遅咲きの
部類にはなりますが、JAZZの場合35歳なんて何も遅くはありません。
これからどんどん活躍して欲しいシンガーの一人です。

曲目をご覧いただくとわかりますが、幅広いジャンルから選曲されて
います。ストレートアヘッドなスタンダードから、古い時代のスイング、
リズム&ブルース、コンテンポラリーなオリジナル、ポップスと多彩で
す。そしてどの曲も、しっかりとした太い線を感じさせる歌唱で、実に
巧く歌い込んでいる。ポップス曲を“普通”に歌ってもJAZZになると
いう、理想的な個性です。

エキゾチックでミステリアスな香りが漂う「ネイチャー・ボイ」からアル
バムはスタートします。ナット・キング・コールが48年に大ヒットさせ
たいわくつきの曲。フレージングのここかしこから彼の影響が聞き
取れますが、声質は意外とストレートで、意識して抑えて歌っている
ようにも感じられます。

2.の「Be My Baby」 この曲はポップスの「ビー・マイ・ベイビー」ではな
く、ブルージィな同名異曲。ベースのイントロから始まり、スローでねち
っこく歌うのですが、重くないので疲れません。だんだんと彼女の魅力
が伝わってきます。 この曲で“こころはしっかり彼女のもの”になって
しまいました。

3.の「黄金の雨」は、ビング・クロスビーが歌った映画主題曲。“空から
お金が降ってくる”と快活にスイングすると、心がうきうきとしてくるから
不思議です。本当に降ってくると、もっとうきうきするのですが…。(^^)

8.の「Straighten Up and Fly Right」 なんと言ってもナット・キング・コー
ルのテーマソングでありジャイブナンバー。ジャイブナンバーとは、お
しゃべりするように表現するJAZZのこと。そう言えばこの曲、ダイア
ナ・クラールも「ステッピング・アウト」で歌っていましたね。ミシェル・ウ
ォーカーの歌声に身をゆだねていると、今のダイアナにはない、素朴
ですっぴんの魅力を感じます。

9.の「Kiss Of Life」 ロック歌手のシャーデーの曲は、JAZZメンによく
取り上げられます。彼女の生き方とも相まって、ストレートで強い歌の
中に垣間見える、やさしさに惹かれるからでしようか。

12.「Your Song」 エルトン・ジョンのこの曲を、アコースティックギターの
伴奏でかみしめるように歌います。フェイクしたり、アドリブを入れたり
は無しのストレートな歌唱。名曲の持つ強さに敬意を表して。
 
14.の「Crazy He Calls Me」では、ビリー・ホリディにより世に出たこの
曲を、アレサ・フランクリンばりに朗々と歌い上げます。ひたむきな女
の愛情をあますことなく表現するバラードで。

パーソネルは、ピアノとギター、ベース、ドラムスのカルテット。この編
成はヴォーカルとの相性が抜群、と私は勝手に思っています。間奏で
時々流れるギターのアドリブは、出すぎず、引かずのバランスが絶妙。

彼女の歌を聴いていると、先日の開運蔵見学会で飲ませてもらった、
“しぼったばかりの大吟醸”を連想します。ろ過も滓引きも火入れもし
ない、酒の個性そのままの味わいで、荒さも感じるのですが、すっぴ
んの魅力とその旨さに脱帽。

【曲目】
1.  Nature Boy
2.  Be My Baby
3.  Pennies From Heaven
4. East Of The Sun
5. The Very Thought Of You
6. Sometimes I'm Happy
7. Summertime
8. Straighten Up and Fly Right
9. Kiss Of Life
10. Daddy
11. Slow Down
12. Your Song
13.  Time After Time
14. Crazy He Calls Me
15. On The Sunny Side Of The Street

【Personnel】
Michelle Walker - vocals 
Wayne Wilentz - piano
Dave Cosby - guitar
Marc Blackwood - bass
Jim West - drums
Justin Lees - guest guitar

当店のHP上では、ここで紹介したアルバムのジャケットを載せてい
ますので、是非ご覧下さい。  ミシェルの歌ではありませんが、
「Nature Boy」が試聴できます。 仕事中の方ご用心。 

http://www.japan-net.ne.jp/~katayama/link02/03jazz/jazz.html7.htm

Michelle Walker のサイトはこちら。何曲か試聴できます。

http://www.dcjazz.com/michellewalker/recordings.htm

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