
●ヤマトヌマエビ繁殖成功情報
インターネットニュースグループfj.rec.pets.aquaより
1997新春のインターネットニュース、大熊但由さんの投稿を私がここに残します。興味のあるかたは以下どうぞ。
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おおくまと申します。繁殖レポートを送ります
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Message-ID: <5c809a$8h@tengelle.kuma.taito.tokyo.jp>この年末年始にヤマトヌマエビの繁殖に成功しました!
12月13日に生まれて現在7-11mmの小エビが132匹います。
(こないだやっと数えました。(^^))
ご存知の方も多いと思うのですが、ヤマトヌマエビは両側回遊性といって幼生は海に降りて育つので半海水でないと生きられず、アクアリウムでは多少世話を焼く必要があります。
アマチュアの成功例もいくつかあるので基本的に追試ということですが、いくつか気づいたこともあったので簡単なレポートを書いてみます。
○ 親エビの環境
親エビ達は90cm水槽で暮らしており、タンクメイトはディスカスとオトシンとペンシルです。これはお気楽ディスカス水槽でして、温度は27-29℃、大磯を5cmほどひいて水草(Echinodorus,Cryptocoryne) をちょびちょび植え、CO2添加は無し、というものです。
フィルターは飼い主が手を抜くのために豪勢にしてまして、吸い込む方から順に、底面+プレフィルター+エーハイム2015+上面フィルターと直結しています。
水は東京のマンションの水道水を湯沸し器を通し、ため水と半々にしたものです。適当に温度合わせしてるだけとも言います(^^;。気が向いたらたまに中和剤とかアクアセイフを入れたりもします。幼生のための半海水をつくるには人工海水を使いました。
親エビ達は9匹いまして、いつも平均して1、2匹が卵を抱えています。おそらく藻の他に高蛋白な餌=ディスカスの餌のおこぼれ=牛心臓肉+エビすり身+アカムシをたくさん食べているせいでしょう。
○ 1回目の失敗
1回目は抱卵した親エビを45cm規格水槽に移し、スポンジフィルターを回し、流木を入れた他はベアタンクで、徐々に塩分濃度を上げる方法をとりました。温度は26℃にしました。
去年の10月25日に卵を抱えていることに気づいたので隔離し、3-7日毎に水換えのたびに 3,4%ずつ濃度を上げていき、海水比30%にもっていきました。
11月26日あたりで卵が発眼しているように見え、5日間くらいよく観察していたのですがいっこうにフ化する様子がなく「なんだ発眼じゃなかったのか」と思っていました。
ところが気を抜いたらいつのまにかフ化していたらしくて、12月4日に気づいた時にはわずか3匹の稚エビが漂っているという悲しい状態になっていました。(ひゅるるる〜)
これが1回目の失敗です。
○ 浜野先生の記事
ここまで古〜い Aqualife の記事と NIFTY の faqua のヌマエビ繁殖記を参考にしていたのですが、水産大学の浜野先生の投稿記事を入手することができました。
この記事には極めて重要なことが書かれており、ポイントは、
(1) 幼生は海水比で50%以上の汽水でないと生きられず、70%程度が望ましい
(2) フ化した幼生は馴致する必要はない。(ゆっくり塩分濃度を上げる必要はない)
の2点です。
このおかげで1回目は30%と塩分濃度が低過ぎたせいで、ほとんどの幼生が死んでしまったことが分かりました。
○ 2回目
失敗の翌日12月5日にはすでに他のエビが卵を抱えていました。いつから抱えていたのか分からないのですが、8日後の12月13日の朝には発眼していました。
勝手にフ化させておいて真っ暗にしてライトで集めて吸い取るという手もありますが、うちだとディスカスが喜んで食べちゃうのでやっぱり親を隔離させます。
親エビはもちろん馴致する必要がありますから、特製イケス(ほぼ密封型)に入れて、海水比0%→50%まで12時間で7%ぐらいずつ、3,4日ぐらいかかって50%に持っていこう、などと思っていました。かなりきついペースですが。(ちなみに、特製イケス=キムチの空きパック、です。(^^;))
ところがここがラッキーで、その日(13日)の夜にイケスを見たらすでにフ化していたのです。なにやらゴミのような生き物がピコピコわんさか動いていました。中にはフ化の最中の卵もあってフ化の瞬間も見ることができました。何匹いたかはまったくわかりませんが推定200匹以上というところでしょうか。
あっさりすべての幼生を回収できてしまい、親エビも馴致する必要がなく、ポイともとの水槽に返してやりました。幼生は馴致する必要がないということなので、すぐに70%海水に入れました。
○ 幼生の飼育スタイル
幼生の水槽は前回と同じく45cm規格水槽ですが親エビもいないので流木を取ってしまって、ベアタンクにスポンジフィルターにしました。温度は28℃です。この水槽は前回使用したままなので1カ月以上30%海水で回っており、微生物系はできていたと思うのですが、いきなり70%海水まであげてしまいました。
マクロな微生物系としては、壁には緑のひげ状の藻がうっすらして、うすい茶色の藻も少し生えていました。水はごく軽くうっすら濁っていました。珪藻類は餌になるということを聞いていたので藻を生やそうと思い、蛍光灯は15W×2と45cmには強めの明かりを最初の2週間つけっぱなしにしてました。2週間をすぎたあとはこっちの生活にあわせて ON/OFF しています。
その他にはコペポーダの仲間と思われる微生物が4週間くらい増えたり減ったりしてました。こいつらの形は顕微鏡で見て知っていたのですが、名前はAqualife の '97年2月号の MICROSCOPE で最近知りました。よく水槽のガラス面でガクガクとドット単位で動いているような、小さくて太ったエビカニもどきの形をしてるやつです。(わかります?) 卵を持った奴はちょっと三角系に見えます。
彼らが幼生の餌になっていたかどうかはよくわかりません。コペポーダは0.5-1.0mmくらいで、生まれたてのエビは1-2mmくらいです。コペポーダの幼生なら食べられるでしょう。
他に餌というような餌はテトラのディカスフード少しとタビミンを細かく砕いたものを耳かき1/5程度を1日3,4回水面に浮かせていました。といってもこれを食べている様子はあまりなく、好んで食べていたのはこの粉が沈んで腐って茶色っぽくなったようなもので、これによくしがみついていました。餌にくっついて増えた微生物を食べていたのかもしれませんし、ふやけた餌でないと食べられなかったのかもしれません。
幼生は漂っているだけで、底の方にある餌にありつけないので、1日に何回か短いホースを口で吹いて撹拌しました。
○ 経過
最初は微生物系がうまくいかなかったせいなのかよく分かりませんが、最初の4日で40%程度の数に減ってしまったように感じました。しかし4日過ぎから幼生が急に大きくなりだし、その後定着生活に入るまではあんまり減ってないように感じます。
水換えは底にたまってるゴミを1/2〜1/3程度ガラスボールに吸い出し、吸ってしまった小エビを探しました。これは面倒なので水換えはあんまりやらないことにしました。
最初の2週間は水換えなしで、
2週間目 1/7 を70%海水で交換
3週間目 1/6 を 淡水(あたらしい置き水)で交換
と換えたあとは2-3日おきに淡水化のための水換えをしました。このあとの換水は90cm水槽からとった水でやっています。
さて、4日目以降はたいした変化もなく順調にいきまして、
17日目 最初の定着エビを数匹発見。体長4-6mm。
21日目 水換えして海水比60%に
22日目 定着生活しているエビが半数になった。体長5-7mm。
24日目 水換えして海水比50%に
と定着生活するエビが増えてからは粉餌を食べられているようなので餌も耳かき1/2を1日2回程度に増やしました。このくらいのサイズだとちょうど蚊くらいで、腕にとまったときの感触もまさに蚊でした(笑)。
不思議なことに漂っているときは桜エビが小さくなったようで赤いのですが(とくに腹側が)、定着すると親同様に透明になっていきます。これで保護色になっているんでしょうか。
27日目 水換えして海水比40%に
29日目 定着生活しているエビが90%になった。体長6-9mm。 水換えして海水比30%に
32日目 水換えして海水比18%に
34日目 水換えして海水比 9%に
36日目 水換えして海水比 5%に
(濃度の海水比は測定でなくて計算上、体長も目測です。)
温度が28℃と高いので全体的には早く成長しているのですが、けっこう個体差があって、今では大きいのと小さいのとでは1.5倍程度差があります。
また定着生活するエビが増えてからは共食いを避ける意味で餌を多めに入れていました。これが水を汚しているらしく、水がうっすらと緑色になってきたので、数を数えたかったということもあり、ここで小エビたちを他の水槽に移動することにしました。そして記念すべき1月21日、
40日目 子エビを別の水槽に移動。完全淡水。体長7-11mm。
とめでたく淡水に戻りました。
小エビを移動するまでは40〜60匹くらいだろうと思っていましたので、5匹ずつ掬っても10回程度、楽勝、とか思って数え始めたのですが、じつは取っても取ってもベアタンクのどこからか出てきます。なんと132匹もいました。繁殖大成功です。
大熊さんの水槽で繁殖したヤマトヌマエビの子供○ 繁殖をやってみようという人へ
2回目であっさりうまくいってしまって、あまりえらそうなことは言えないの ですが、実際のところ
(1) 親と幼生をどうやって分けるか
(2) 幼生の餌
がポイントになると思います。(もちろん微生物系をうまく保つとかそういう小さい生物を育てるときの基本はあるかと思いますが)
(1) は、もし親エビ水槽に幼生を食べてしまう魚がいなくて、かつ幼生が吸い込まれるようなフィルターを使ってないなら、
(1-a) フ化するまで待って真っ暗にしてライトで集めて回収する
という手が使えます。それができなければ、
(1-b) 発眼したら親エビをイケスなり水槽なりに隔離する
(1-c) あらかじめ親エビを隔離しておいて塩分濃度を上げていく
のいずれかがいいと思います。(1-b) は僕の場合イケスでフ化したのがラッキーだったのですが、単にストレスで親エビがフ化まぎわの卵を脱卵してしまっただけという可能性もあります。ここはもう少し実験してみようと思っています。
(1-c) はフ化したあとの親エビをもとの水槽に戻すのにまた馴致しないといけないので多少手間が増えます。親エビがどのくらいの塩分変化に耐えられるのか分からないのですが、海水比50-70%から0%へもっていくには2,3日はかかってしまうでしょう。
1回目のトライのあと親エビを淡水に戻すのに、海水比 30->15->0% を12時間間隔で、というのをやってみたのですが、体色がすこし白くなってけっこうダメージがあったようです。もっともその後は元気です。
次に(2)の餌についてですが、餌の食わせ方については、水槽でなく、全体がゆるく循環して底のゴミが吹き上がるようなものができれば、それが理想的だと思います。想像するならば大きなブラインシュリンプフ化器のようなものです。水を頻繁に換えて何個か使うならブラインフ化器でもいけるんじゃないでしょうか。
あとはなんらかの(幼生を吸い込まない)モーターで水底のゴミを吹き上げるような水槽もいいと思います。こういうタイプの環境だったら幼生はいつでも餌にありつけます。
また餌そのものはは浜野先生の記事によると「ほんの少量のテトラミン(粉末)に麦芽やヌカなどの穀類胚芽などをほんのわずか加え,粉末にしたもの」とのことなのですが、僕の場合麦芽もヌカも手元になかったので、ようは植物質の餌ならいいに違いないと考えテトラのタビミンを粉にしてあげていました。しかしタビミンは沈むタイプの餌で、落ちるのが早過ぎるので、カメの餌なりコ イの餌なりがあるならそのほうがいいでしょう。もちろん麦芽/ヌカがあれば問題ないと思います。
あとは水温についてですが、今回28℃と高いのは、うちにある水槽(2つ)がみんな28℃前後だというのと、life span を短くして早く観察したいというのが理由です。考え方がディスカス飼いですね(笑)。これが原因であとで障害が出ちゃうかもれません。ふつうは親のいる水槽と同じ温度でいいと思います。※以上情報提供は、大熊但由さん:kuma@tengelle.kuma.taito.tokyo.jpでした。
上記の記事を転用される方は大熊但由さんに連絡をお願いします。
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